健康にこだわりすぎて、食べれる食べ物が少なくて偏食
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オルトレキシア(orthorexia)とは、健康に気を遣いすぎて、身体を壊す状態だ。
健康に良いとされる食べ物だけ選んで食べるので、結果的に偏食になる。
たとえば、食品添加物は身体に悪いので、添加物が入った加工食品は食べない。
着色料や防腐剤が入った食品も、身体に悪いので食べない。
精白された穀物や、それで作られたパンや麺は身体に悪いので、食べない。
野菜は加熱すると酵素が壊れて、栄養素が減るから、生でしか食べない。
フライや天ぷらなどの揚げ物は、脂肪のとりすぎになるので、食べない。
最近は、糖害などといって、炭水化物も取り過ぎると身体に悪く、老化を進めることが分かっているので、炭水化物もあまり食べない。
甘いモノは、脳の快感中枢を刺激したり、血糖値を急騰させて毛細血管を傷める(グルコース・スパイク)から、食べない。
こういう風に考え始めると、食べても良いモノはドンドン減っていく。
卵もダメ、牛乳もダメ、チーズもダメ、肉もダメと言うことになると、本当に食べる物がなくなってしまう。
その結果、タンパク質不足になって骨がスカスカになったり、ミネラル不足で神経トラブルが起こったりする。
タンパク質やミネラルは、一日に吸収できる上限が決まっているので、いったん不足すると、簡単には戻せないから大変だ。
オルトレキシアは、「健康的な食品への狂気的な強迫観念」による精神症状だと考えられている。
強迫観念というのは「~しなきゃいけない」と思い込んで、その通りやらないと罪悪感を感じる。
言ってみれば、ゼロか100%か、完全な善か完全な悪か、などといった極端な価値観を持っている。
つまりオルトレキシアは、強迫性パーソナリティ障害の一種だと考えられている。
そして一般の拒食症と異なるのは、動機が自分の体型や美醜などとは関係が無いと言うことだ。
一般的な拒食症というのは、自分の体型や美醜に極端にこだわっていて、健常者から見てガリガリに痩せていたとしても、まだまだ太っている部分があるから痩せなきゃ、と思っている。
そのため、徹底的に食べるのを避けてさらにガリガリになっていく。
一方、オルトレキシアの場合は、食べて良い食品がだんだん減っていき、その結果、栄養バランスがドンドン悪くなって身体を壊すという経路をたどる。
となると、オルトレキシアを持つ人に、スタイルや美醜の話をしても、意味は無い。
彼らは、自分のスタイルや美醜には、さほどコダワリはないからだ。