イオンチャネルとは
更新日:
健康のためには細胞が正常に働く環境を整える必要がある。
そのために重要なのがナトリウムとカリウムのイオンバランス。
ナトリウムとカリウムは、体内では偏在していて、ナトリウムは体液中に多く、カリウムは細胞内に多い。
なぜこのように偏在できるのかというと、人間の細胞膜がイオンを自由に通さないからだ。
細胞の一番外側にある細胞膜は、二重の脂質(脂肪)の膜で囲まれているので、脂溶性(脂肪に溶ける)物質しか通さない。
ただこの細胞膜には色んな形の通路があり、そこをミネラルイオンを通すことによって、細胞は外部とミネラルをやりとりしているわけだ。
このミネラルを取り込んだり排出するにはイオン・チャネルとイオン・ポンプという仕組みが使われる。
チャネルというのは「水路」のことだが、ミネラルごとに別の専用チャネルがあって、カリウムはカリウムチャネル、ナトリウムはナトリウム・チャネルしか通れない。
またずっと開いているわけではなくて、開くのは特定の条件の時だけである。
というのも細胞の内と外とではイオンの濃度が違うので、イオン・チャネルを開くと濃度が高い方から低い方へとダーッとイオンが流れ込んで均一になってしまうからである。
そうなると電位差が無くなって、心臓や神経などは動かなくなる。
ナトリウム-カリウムポンプ
人間の細胞膜は脂質(脂肪)でできていて、イオンのような水溶性のモノは通さない。
なのでイオン・チャネルという通路を使って、ミネラルを取り込んだり排出したりする。
ところがイオン・チャネルというのは開いたり閉まったりするだけで、濃度が高い方から低い方へと流す事しかできない。
ナトリウムの濃度は細胞外の方が高いので、ナトリウムチャネルが開けば外から中へどっとナトリウムイオンが流れ込む。
逆にカリウムの濃度は細胞内の方が高いので、カリウム・チャネルが開けば中から外へどっとカリウムイオンが流れ出す。
こういう風に一方通行しかできないので、これとは別に、イオンを逆方向に輸送する仕組みがあってそれが『ナトリウム-カリウムポンプ』(Na+/K+ ATPアーゼ)である。
これはナトリウムを細胞の外に捨てて、カリウムを細胞の中に取り組むイオン・ポンプである。
人間の身体を動かしているのはATPという物質だが、そのATPのエネルギーを一個使ってナトリウムを3コ放出し、カリウムを2コ細胞に取り込んでいる。
このポンプは、イオンの濃度差に逆らってミネラルを運ぶので、動かすにはエネルギーが必要で『能動輸送』と呼ばれる。
ところがこのイオン・ポンプ、ガン細胞では2割ほど機能が落ちていることが分かっていて、どうやらガンとイオンバランスには関係があるらしいのだ。