健康になるには、健康な細胞が必要
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人間の身体というのは、約60兆コの細胞で出来ている。
この細胞というのは一つ一つが生き物で、良い環境下であるとちゃんと働くが、悪い環境下であると具合が悪くなる。
たとえばガンという病気は、細胞分裂の制御が出来なくなって無制限に増え続ける病気であるが、これも細胞の環境が悪くなって、エラーが出ていると考えることが出来る。
iPS細胞の開発者の山中伸弥京大教授は健康な細胞に4つの発ガン遺伝子を組み込むことによって、皮膚細胞から万能細胞を作り出すことに成功したが、普通の細胞も何かの刺激があるとガン化して増え出すわけだ。
またガンが発生したときに、これを抑えるのも実は細胞の働きだ。
免疫細胞(白血球)の一種のNK細胞などはガン細胞を攻撃してガンの増殖を防いでくれる。
異物やウイルス・雑菌に対して対抗するのも免疫細胞で、ウイルスに対して唯一有効な武器である抗体を作るのも免疫細胞の働きである。
ところがこの免疫細胞も、環境が良くないと上手く働かない。
免疫は免疫グロブリンという巨大タンパク質なので、このタンパク質を合成するための環境がないとダメなのだ。
だから細胞の環境を良い状態に保つというのは、健康法としては一番重要かも知れない。
この細胞の環境を整える方法の一つが、ナトリウムとカリウムのバランスを整えること。
つまり塩分を減らしてカリウムを増やすって事になる。
ナトリウムとカリウムのバランス
ナトリウムとカリウムは、人間の細胞の中でどういう動きをしているのか。
まず人間の体内には約100~120グラムのナトリウムとカリウムがある。
ナトリウムの半分は細胞外液(さいぼうがいえき)、つまり血液やリンパ液の中にあり、残りは骨の中にあって、体液の濃度を調整している。
たとえば体の中に水分が足りなくなると相対的にナトリウムの濃度が上がり、それで水が欲しくなる。
また塩分を取りすぎると体内にナトリウムが滞留して、その結果水が飲みたくなって水太りになったりするわけだ。
一方、カリウムはその9割が細胞内液(さいぼうないえき)、つまり細胞の中にあって細胞の内外に電位差を作っている。
(通常は細胞外がプラスで、細胞内がマイナスの電位)この電位差を利用して心臓や神経は動いているので、血液中のカリウム濃度が上がると不整脈になったりする。
そうならないように腎臓は血液中のカリウム濃度が上がると、排尿、つまりオシッコでカリウムを排出する。
このとき同時にナトリウムも外部に排出されるので、スイカやナスなどカリウムが多い食品は利尿剤(オシッコを出す薬)の代わりに使われたりする。
こういう風に細胞の内側と外側でナトリウムとカリウムの濃度がハッキリ分かれているのは、細胞が一生懸命カリウムを取り込み、ナトリウムを排出しているからだ。
これがつまり能動輸送というヤツである。