ビフィズス菌と健康
更新日:
子供は母乳で育てると元気に育つという。
母乳で育った子供の腸には、人工のミルクで育った子供よりも、多くのビフィズス菌が住みついていて、そのせいで健やかに育つのだという。
また子供がミルクだけ飲んで生活している間は、ビフィズス菌が腸内菌叢で優位を占めていて、腸の状態は非常によいし、便も臭くならない。
ところが離乳食を食べ始めると、便がどんどん臭くなっていく。
というのも食べ物の種類が替わったせいで、善玉菌の餌となる材料が少なくなり、替わってタンパク質などを好む細菌が増えていくからだ。
具体的には腸内のビフィズス菌が少しずつ減っていき、ウエルシュ菌などの腐敗菌の勢力が増していく。
腐敗菌はタンパク質を分解してアンモニアや、硫化水素などの物質を作るのだが、これは有害物質で臭い。
アンモニアは、オシッコを放置していると臭ってくる臭いで、硫化水素の臭いは、温泉地の硫黄の臭いや腐った卵の臭いだ。
これらの有害物質は腸壁から吸収されて体内にはいるので、無毒化するために肝臓が忙しくなり、排出するために腎臓が忙しくなる。
そして有害物質が増えると肝臓や腎臓が酷使され、他の仕事ができなくなってしまうので、健康に良くないわけだ。
ということで、腸内細菌叢の悪玉菌を抑えるために、ビフィズス菌などの乳酸菌を増やす方法が考えられた。
それが、プロ・バイオティクスという方法と、プレ・バイオティクスという方法だ。
乳酸菌を増やすのは、簡単ではなかった
健康になるには腸内のビフィズス菌を増やせばよい。
そこでプロバイオティクスと、プレバイオティクスということが考えられた。
プロ・バイオティクスというのは、腸内のビフィズス菌が少ないなら、ビフィズス菌を腸まで送り込めばよいのではないかという考えだ。
「生きたままの乳酸菌が腸まで届く!」なんて宣伝しているヨーグルトを食べたり、腸で溶けるコーティングを施した乳酸菌製剤を飲む方法だ。
一方、プレ・バイオティクスという方法は、食物繊維やオリゴ糖など乳酸菌の餌となる食品を食べ、腸の中の善玉菌を増やそうという方法だ。
具体的に言うと、たまねぎ、キャベツ、ごぼう、アスパラガス、蜂蜜、バナナ、牛乳、ヨーグルト、ジャガイモ、ブドウ、きなこ、にんにく、トウモロコシなどを食べたり、食物繊維やオリゴ糖のサプリメントを飲むと良いという。
ところがこのどちらも、あまり効率が良くないことが分かってきた。
というのも生きたビフィズス菌を食べても、胃酸や胆汁酸で殆どが死滅してしまい、大腸までビフィズス菌を生きたまま送り込めない。
死菌体(死んだ菌や酵母)でも、免疫力を上げる効果はあるので、食べた方が健康によいのだが、期待した効果はなかった。
またビフィズス菌を生きたまま送り込めたとしても、実際にその菌が大腸に定着するのは難しく、送り込んだ菌はどんどん追い出されてしまうことがわかった。
つまり外から善玉菌を腸に持ち込んでも、腸内細菌叢の仲間に入れなかったのだ。
一方、ビフィズス菌の餌となる食べ物を食べても、なかなかビフィズス菌が思ったほど増えてくれないし、体質改善に時間がかかって効果がすぐに出ないことも分かった。
そこで新しく考えられたのがバイオ・ジェニックスという方法で、乳酸菌生成物に注目が集まったわけだ。