高温で調理すると、有害なAGEsが増える
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肉などを焼いたり、クッキーを焼いたときに、茶色になる現象をメイラード現象と呼ぶ。
これはブドウ糖(グルコース)や果糖(フルクトース)とタンパク質やアミノ酸が結合して出来たもので、今から約百年前に発見された。
メイラード反応は、
- 肉を焼いたときに、褐色に色が変わる。
- 玉ねぎを炒めていくと、褐色になる
- デミグラスソース(ブラウンソース)の茶色
- コーヒー豆を焙煎すると焦げ茶色になる
- 黒ビールやチョコレートの色
- 味噌、醤油の色
- パン(トースト)やご飯の「お焦げ」
メイラード反応は、アミノ酸やタンパク質、脂質に糖がくっつく反応の糖化反応の一つであり、出来る物質を糖化反応物と呼ぶ。
糖化反応が起こるのは、グルコースやフルクトースなどの還元糖だが糖とタンパク質の組み合わせによって、様々な糖化反応物ができるわけだ。
この糖化反応物の反応が進んで行くと、最終的に、AGEs(最終糖化反応産物)と呼ばれる物質が出来る。
AGEsには様々なモノがあるのだが、高温で調理を行うと爆発的に増える。
たとえば80度で反応させた場合と、130度で反応させた場合では出来るAGEの量は5倍も違うという。
また糖化反応は、触媒が無くても進む反応なので、AGEsは時間に比例して増えていく。
味噌や醤油など、熟成させればさせるほど色が濃くなるが、あれはAGEsが時間とともに増えているかららしい。
糖化ヘモグロビンは、体の中にできた「おこげ」
ブドウ糖や果糖とタンパク質が結合して、出来るAGEs(最終糖化反応産物)。
この中には無害なモノもあるが、有害な物質もたくさんある。
そしてこのAGEsは当初、食べても吸収されないと考えられていたが、食べると吸収されることが分かってきた。
つまり焼いた肉や魚などの焦げを食べると、害のあるAGEsを身体に取り込んでしまうわけだ。
こうやって、料理で出来たAGEsを外因性AGEsと呼ぶ。
そして外因性AGEsがあると言うことは、内因性AGEsもあると言うことだ。
当初、メイラード反応(糖化反応)は、高温で調理した場合に起こるモノだったので、人間の身体の中では起こらないと考えられていた。
ところが糖尿病患者の血液中に、HbA1c(ヘモグロビン・エイワンシー/糖化反応ヘモグロビン)という物質が増えることがわかり、人間の体内でもメイラード反応が起こっていることが分かった。
ヘモグロビンというのは血液の赤血球にある赤い色素タンパクだが、その中に数%ほど、ブドウ糖(グルコース)によって糖化反応されたモノがあったのだ。
つまり血糖値(血液中のブドウ糖濃度)が高いと、血液中のヘモグロビンとブドウ糖と反応が進みやすくなるので、糖尿病になると健常者よりもたくさんヘモグロビンA1cが出来るのだ。
ヘモグロビンの寿命は約120日なので、2~3ヶ月間、高血糖(血糖値が高い状態)が続くと結果的にヘモグロビンA1cの割合が高くなる。
つまりこれが糖尿病だという証拠になるわけだが、炭水化物を食べ過ぎると、血液の中に「こげ」ができてしまうわけだね。