人類の歴史は肉食とともに

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羊(めん羊)は、今から8,000年も前に家畜として飼われていた。

 

羊は元々モンゴルから西アジア、中近東や地中海、そしてインドなど広い範囲に生息していて、乾燥地域や寒い地域でも繁殖できる草食動物だ。

 

羊は乳も飲めるしチーズも作れる。

 

肉も食えるし、毛を刈って衣服にも使える。

 

しかも羊は草しか食わないから、人間の食糧とカチ合わない。

 

家畜は総称してライヴ・ストック(livestock)と呼び、「生きている保存食」として扱われるのだが、人間の食べられないもので成長する家畜は人間の食糧を分けなくても良いので貴重だ。

 

それでいて羊は高タンパクで脂肪も持つので、羊は人類にとって貴重なタンパク源であり、貴重な脂肪源でもあったため、世界各地で飼われた。

 

一方、豚は、イノシシを家畜化したものだと言われているが、古代エジプトや古代オリエント、モンゴル、中国などでやはり8,000年くらい前から家畜として飼われ始めた。

 

豚も羊と同じく、貴重なタンパク源であり脂肪源であったため、ブタを食べないイスラム圏を除いて世界中に広まった。

 

養豚は日本にも伝わり、なんと弥生時代にはすでに関東以西では弥生ブタが飼育されていたらしい。

 

ただし東アジアの養豚では人糞で飼う習慣があって、これが不浄とされたためか、日本では次第に廃れていき、琉球(沖縄)や薩摩(鹿児島)以外では行われなくなった。

 

ブタは雑食性で球根や木の根、虫などを食べるが、人間と食べ物が重なる部分が多いので、秋にドングリなどを食わせて太らせ、冬には屠畜してハムやベーコン、ソーセージを作って食糧にした。

 


穀物を腹一杯食べるようになったのは最近のこと

今から8,000年ほど前には畜産が始まり、人類の貴重なタンパク源と脂肪源となったが、穀物の栽培も5,000年以上前に始まっていた。

 

たとえばメソポタミアやナイル川下流エジプトでは小麦や大麦やエンドウ豆の栽培が始まった。

 

東アジアでは、稲作や大豆・小豆などが、アメリカ大陸ではトウモロコシやキャッサバ(芋)、ジャガイモやトマトやカボチャなどが栽培された。

 

しかしこの頃の穀物生産というのは、お世辞にも生産性が高いものではなく、一粒の小麦が5~10粒になる程度だった。

 

稲作は一粒の籾が30粒になったが、小麦の10倍も水資源が必要な作物で、栽培できる地域や量が限られていた。

 

つまりどちらにせよ、当時の穀物生産量では大きな人口を養うことは不可能であって、畜産や漁業を行いつつ穀物栽培を行った。

 

なのでヨーロッパの農業は基本的に畜産と穀物栽培を組み合わせた有畜農業であり、穀物や穀物で作ったパンなどは貴重品で、つい数百年前までは、肉より高価な食べ物だった。

 

現代では家畜に穀物を食わせて太らせるが、そんな馬鹿なことをする余裕などなかったのである。

 

つまり欧米では主食は肉や魚であり、穀物は付け合わせや野菜として食べられた。

 

またアメリカ大陸からトウモロコシやジャガイモが伝わり、300年前の農業革命によって生産性が爆発的に上がった後は、肉や魚だけでは食い足りない肉体労働者の食べ物になった。

 

要するに炭水化物を腹一杯食べられるようになり、異常なほど砂糖を消費するようになったのはここ百年くらいに起こった事なのだ。

 

だから人間の身体はまだ、炭水化物ばかり食べるような偏った食生活に適応しておらず、炭水化物中毒を起こしていると言うことらしい。


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