マヌカハニーは危険?
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歌手や声優がノドのケアのために愛用するというマヌカハニー。
マヌカハニーには強い抗菌力と、抗炎症力があるため、口腔内の殺菌とノドの炎症を抑える。
この強い抗菌力は、多くの蜂蜜の中でも、一部のマヌカハニーだけの独特なモノで、一体なぜ特定のマヌカハニーだけに、こんな効果が現れるのかは、最近までよく分からなかった。
そのためマヌカハニーの抗菌力は、UMF(ユニーク・マヌカ・ファクター)という、独自の指標で表されていた。
このUMFという指標は、消毒用フェノール溶液の効果と比べたモノで、たとえばUMF10+の抗菌力は、消毒用フェノール10%希釈液に相当する。
健康効果が期待できるUMF10+のマヌカハニーは、マヌカハニー全体の20%くらいしかなく、マヌカハニーといっても採取場所や時期によって、抗菌性は様々だと言うことだ。
そしてマヌカハニー独特の抗菌力の源が、MGO(メチルグリオキサール)であることが、2008年になってようやく分かった。
そのため、マヌカハニーの効果を現す指標として、1kgに含まれるMGOのmg数で表記するメーカーも現れた。
1kgにMGOが100mg以上含まれていればMGO100、500mg以上含まれていればMGO500、と言う風に。
そして、UMF10+は、MGO200前後、UMF15+は、MGO500前後に対応する。
ところがマヌカハニーの抗菌力の源が、メチルグリオキサールだと分かった途端、別の懸念が浮かび上がってきた。
というのもメチルグリオキサールというのは、糖化の指標として使われている物質で、2型糖尿病患者の動脈硬化や高血圧と相関関係があるとされているからだ。
つまりマヌカハニーの抗菌力は、動脈硬化や高血圧を引き起こす要因成分によるものだったのだ。
となると、マヌカハニーは危険な食品と言うことになってしまうのだが、果たしてそうなのか?
体内にできるMGOと、食べるMGOは別?
マヌカハニーの抗菌力は、MGO(メチルグリオキサール)という成分による効果だと判明した。
ところがこのメチルグリオキサール、人間の体内でも発生する物質で、しかも身体に害のある物質だった。
MGOは反応性が非常に高く、タンパク質を糖化したり、DNAを糖化したり、転写因子を糖化する。
そしてコラーゲンタンパクを硬く脆く(もろく)したり、炎症や血栓を作って体中の毛細血管を壊す。
糖尿病などでは、失明したり腎臓を痛めたり、体中が壊れていくが、これは血液中に含まれるブドウ糖(血糖)や果糖が毛細血管を壊すからだ。
MGOも実はブドウ糖からできる糖化物質で、しかも反応性はブドウ糖の1万倍も強い。
なので血液中のMGO濃度が高まると、動脈硬化や高血圧が進行してしまう。
体内MGOが増える原因は、加齢、酸化ストレス、糖尿病、高血圧、尿毒症、炎症などだと考えられている。
では食品として食べるMGOはどうなのか。
これについてはまだ研究が少ないが、高濃度のMGOを含むエサを与えたラットは、糖化代謝物のAGEs量が増えたという報告がある。
またインスリン抵抗性が高まり、糖尿病リスクが高まったという報告もあるようだ。
ただし実験でラットに投与されたMGO量を、人間に当てはめると、高活性のマヌカハニーを、毎日6kg以上食べるくらいの量になり、マヌカハニーを1日30グラム取ったとしても、その200分の1にしか過ぎない。
またMGOは反応性が高いので、胃の中ではMGOのまま働くが、小腸に届く頃には、ほとんどが既に反応しており、そのまま体内に吸収されるMGOはほとんど無い。
ということで、現時点では、マヌカハニーを少量食べるくらいでは、問題が無いものと考えられる。