薬膳・五味とは?
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薬膳の基本は、四性(四気)と五味。
四性(四気)というのは、身体の熱を取る食べ物と、体を温める食べ物のことだった。
体調や季節によって、身体の熱を取る食べ物と体を温める食べ物のバランスをうまく取る。
これが薬膳の一つのコツだという。
特に体が弱っている場合は、身体を冷やす食べ物は危ないし、また体を温めるものでも刺激物は血圧を上げたりしてかえって良くなかったりする。
子供や病人・老人には、平性という中間的な作用の食べ物を主とするという。
で、もう一つの基本、五味である。
五味とは、五つの味と言うことで、
- 甘い
- 辛い
- 酸っぱい
- 苦い
- 塩辛い
漢方・中医学の湯液(いわゆる煎じ薬)の考え方では、味と内蔵の機能には深い関係があるという。
「甘味」は「脾経」。
適量な甘味は脾を養うという。
脾経というのは、食べたモノをエネルギーにする働きのことを言う。
江戸時代の貝原益軒の養生訓には、何度も「脾胃(ひい)に良い」とか「脾胃に悪い」とか出てくる。
脾胃(ひい)とは簡単に言うと消化機能って事で、元気がない場合はナツメなどの甘い漢方薬を使うと良いとされる。
疲れたときなど、甘いモノが良いというのはこれになる。
「辛味」は「肺経」。
適量な辛味は、肺を助けて風邪予防になる。
「酸味」は「肝経」に入りやすいので適量な酸味は肝を養うことができる。
「苦味」は「心経」に入りやすいので、夏に心(しん; 心臓の意)の働きが活発な時に摂取し心の熱を取除くと良い。
夏はビールというのは、ビールの苦みが心の余分な熱を発散させてくれるということらしい。
「鹹味」は「腎経」に入りやすいので、適量な鹹味は腎を養う。
五味と内臓の対応関係
■酸味筋肉を収れんしたり、体液などが漏れるのを抑え、引き締め作用がある。
汗どめ、下痢、頻尿、精液のもれなどに用いることが出来る。
食材例: 梅、レモン、酢、ローズヒップ、サンザシ、いちご、トマトなど■苦味余分な熱や毒をとって炎症を抑えたり、湿気を取って乾燥させたり、通便作用がある。
ジュクジュクした肌の疾患や、おりもの、夏バテ、便秘を解消させたりする。
食材例: 緑茶、ぎんなん、陳皮、はすの実、みょうが、にがうりなど■甘味血液などの栄養成分や気を補給し、疲れを取ったり、痛みを和らげる作用がある。
疲労や虚弱体質、薬の場合は他の生薬との調和で用いたりする。
食材例: お米、ピーナッツ、砂糖、はちみつ、牛乳、バナナ、ぶどうなど■辛味カラダを温めて気や血行を促進し、発汗させる作用がある。
風邪の症状や、冷え症、冷えからくる痛みに用いられたりする。
食材例: しょうが、ネギ、シソ、唐辛子、コショウ、にんにく、たまねぎなど■鹹味(かんみ=自然のしょっぱさ)硬いものや固まりをやわらかくしたり、排泄を促し便通をよくする作用があるリンパ腺腫、筋肉や皮膚のしこり、便秘などに用いたりする。
食材例: 昆布、わかめ、のり、エビ、イカ、あさり、豚肉などなお、辛味で甘味のある食材など、ひとつの食材でいくつかの食味をもつものも多くあります。
数味あるものは、それだけ効能も広くなるのです。