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雑穀ご飯は、かつて日本人の主食だった
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さて、トップページでも述べたが、日本人は有史以来、長らく雑穀ご飯を食べてきた。
白米というのは、栽培するのに非常に大量の水が必要で、雨がたくさん降る場所でしか栽培できない。
私が農学部で学んだところによると、小麦を栽培するのにくらべ十倍以上の水がいると言うことらしい。
しかも稲というのは元々亜熱帯性の作物だから、寒さに弱く、台風にも弱い。
だからある年が豊作でも、次の年に作柄がいいとは限らない。
ちょっと水不足になっても、ちょっと日照不足になっても米の収量は大きく減ることとなった。
なので長らく米は、他の雑穀と混ぜて量を増やして食べるのが習慣だった。
平安時代などには、今食べている白飯は「姫がゆ」と呼ばれ、貴族ですら、米をかゆにして食べるのが普通だったのだから、当然と言えば当然だ。
雑穀ご飯とは、日本人の主食
日本の歴史で米の自給率が100%を越えたのは、江戸時代や明治の初期、大正時代など何度かある。
だが、これほど白米ばかり食べるようになったのは、実は昭和40年代以降のことで、それほど新しいことではない。
しかもこれも敗戦後の食糧難でアメリカから小麦や飼料作物を大量に輸入し、それが定着したおかげで達成された米自給率100%だから他力本願かも知れない。
だから食糧自給率を高く維持しようと思ったら、今でも雑穀というのは欠くべからざる穀物なのだ。
というのも水不足や日照量不足、台風などですぐに収量が落ちてしまう米に頼っていると、いつ飢饉(食糧不足)に陥るやもしれない。
だから日本人は長らく、雑穀やソバなどを併せて栽培し、雑穀ご飯を主食としてきたわけだが、今だって実はそうなのだ。
世界の食糧不足が今よりもさらにひどくなれば、また雑穀ご飯が当たり前になる日も来るかも知れない。